30sec Memo
what's service
Jack Friks氏が開発・運営する2つのサービスから成る。一つは、スマホの無駄なスクロール時間を減らし、現実世界の趣味や活動に時間を転換させることを目的としたB2Cモバイルアプリ「CuriosityQuench」。もう一つは、複数のSNSへのコンテンツ投稿を効率化するB2B/プロシューマー向けSaaSツール「Post-Bridge」である。
CuriosityQuench: スマートフォンへの依存や、目的のないスクロールが精神的健康に悪影響を及ぼしており、「もっと有意義なことに時間を使いたい」という願望と実際の行動との間にギャップがあるという問題。
Post-Bridge: コンテンツクリエイターやソロプレナーが複数のソーシャルメディアに手動でコンテンツを投稿する際の、非効率な作業と、既存の管理ツールが高価であるという問題。
CuriosityQuench: スクロールを単に制限するのではなく、1,000以上の趣味リストからユーザーの興味に基づいた日々の行動計画を提案するというポジティブな代替案を提供。
Post-Bridge: 複数のSNSへの一括・予約投稿を、手頃な価格(月額$9〜)で提供。さらに、実際にバズらせた動画テンプレートを提供し、誰でもエンゲージメントの高いコンテンツを簡単に作成できるようにした。
More Info
売上はどのくらい?
月間経常収益(MRR) 270万円($18,000)
ターゲットユーザーは?
CuriosityQuench: 自身のスクリーンタイムの長さを問題視し、デジタルウェルネスに関心が高いジェネレーションZやミレニアル世代の一般消費者。
Post-Bridge: 複数のSNSで活動するコンテンツクリエイター、ソロプレナー、小規模ビジネスの運営者。特に、既存のSNS管理ツールを高価すぎると感じている、価格に敏感な層。
マネタイズ方法は?
CuriosityQuench: フリーミアムモデル。基本的な機能は無料で提供し、より多くの機能やパーソナライズされた体験を提供するプレミアム版(年間約30ドルなど)へのアップグレードを促す、アプリ内課金。
Post-Bridge: 階層型SaaSサブスクリプションモデル。接続できるSNSアカウント数や「コンテンツスタジオ」機能の利用可否に応じて、3つの料金プラン(月額$9, $18, $27)を提供。7日間の無料トライアル(クレジットカード登録必須)あり。
創業者について教えて
創業者のJack Friksは、「自由」と「自律性」を求めて大学を中退。以前はマクドナルドで働いていたが、「仕事をするくらいならホームレスになった方がましだ」と感じていた。プログラミングにたどり着く前は、書籍執筆やTシャツ販売など複数の事業で失敗を経験。独学でプログラミングを習得し、実家の地下室から2つのアプリを立ち上げた。
なんで成功したの?
成功の最大の要因は、性質の異なる2つの成長戦略を完璧にマスターし、それらを連携させたことにある。
1. TikTokの再現性あるバズ戦略による、超低コストな集客マシンの構築:
最初のプロダクト(CuriosityQuench)では、まずTikTok上で「スマホ依存」という課題への共感を問いかけ、プロダクトの需要を検証。その後、アルゴリズム上で有利な6秒動画の「ヒットする型」を発見し、それを300回以上も量産した。これにより、広告費ゼロで6万人以上のユーザーを獲得する、極めて低コストな集客エンジンを確立。このB2Cアプリの急成長が、次の事業の基盤となった。
2.「Build in Public」による、アイデア創出とマーケティングのフライホイール化:
自身の開発者としての挑戦の過程をX(旧Twitter)やYouTubeで発信し続け、他のクリエイターや開発者といった、同業者コミュニティとの信頼関係を構築。プロダクト1の運営から生まれた「SNS投稿が非効率」という新たな課題(=次のプロダクトの種)を、このコミュニティに投下することで、アイデアの「検証」と「マーケティング」を即座に実行できた。事業の過程そのものをコンテンツとして発信し続けることで、次のプロダクトが生まれる前から見込み客を育て、ローンチと同時に収益化できる強力なフライホイールを完成させた。
Road map
創業者自身の深刻なスマートフォン依存との闘いから、最初のアプリ「CuriosityQuench」のアイデアが生まれる。自身の課題について語る60秒のTikTok動画を投稿し、「これが必要だ」というコメントが多数寄せられ、需要を確信する。
当初コーディングに挫折し、ノーコードツールを用いて最初のバージョン(MVP)を開発。このMVPで300人以上の初期ユーザーを獲得し、プロダクトのコンセプトを検証した。
ユーザーからの感動的なレビューに後押しされ、独学でReact Nativeを習得。数週間を費やし、自らの手で「より速く、高機能な」ネイティブアプリとしてCuriosityQuenchを4ヶ月かけて再構築した。
コードで再構築したアプリをローンチ後、あるTikTok動画が15万回再生されるバズを記録。わずか2週間で1,500人の新規登録者を獲得し、オーガニックな成長軌道に乗せる。
CuriosityQuenchのマーケティングのため、毎日複数のSNSへ手動で投稿する作業に多くの時間を費やしていることに気づく。既存の解決策が高価すぎたため、自ら新しいツールを作ることを決意。
2つ目のプロダクト「Post-Bridge」の開発にあたり、Next.jsのボイラープレート「ShipFast」を全面的に活用。決済、認証などの共通機能を省略し、驚異的なスピードで開発を進めた。
「Build in Public」戦略で築いた個人ブランドと信頼を背景にPost-Bridgeをローンチ。サービス開始からわずか4.5ヶ月でMRR 7,000ドル(約105万円)を達成し、その後も成長を続けMRR 18,000ドル(約270万円)に到達した。
Marketing
広告費ゼロ。6秒程度の短い動画テンプレート(面白い画像とキャプション)を作成し、300回以上繰り返し投稿。コメントを誘発するために意図的に動画内で小さな間違いを犯すなど、エンゲージメントを高める工夫を凝らした。
累計3億回以上の再生回数を記録し、6万〜7万人の新規登録者を獲得。CAC(顧客獲得コスト)を実質ゼロに抑えることに成功した。
開発の進捗、収益、挑戦の過程などをTwitter/X上で透明性高く共有。「何をしているか」という具体的なプロセスを共有することで、他の起業家やクリエイターからの信頼と権威を構築した。
ターゲット顧客層(ソロプレナーやクリエイター)のフォロワーをオーガニックに獲得。製品ローンチ時には彼らが温まった見込み客となり、個人ブランドが主要な顧客獲得チャネルとして機能した。
idea
Jack Friks氏のアイデアは、いずれも自身の直接的な経験から生まれている。
CuriosityQuench:
彼自身の「一日中スマホをスクロールしてしまう」という、個人的で深刻なデジタル依存の問題を解決したいという動機から生まれた。
Post-Bridge:
CuriosityQuenchのマーケティング活動で、毎日1時間のうち30分を複数のSNSへの投稿作業に費やしていることに気づいた。この非効率な作業を解決する既存ツールが非常に高価だったため、「もっと良いものを、公正な価格で自分で作れる」と確信したことがきっかけだった。
創業者の核となる哲学は「自身の問題を解決する(Solve your own problems)」ことである。市場調査からではなく、自分が抱える「十分に苦痛な問題」から出発する。その上で、以下のプロセスでアイデアを検証する。
1. まず「自分がお金を払ってでも解決したい問題か?」と自問し、アイデアの価値をフィルタリングする。
2. 次に、コードを一行も書く前に、SNS(TikTokなど)でその問題意識を共有し、オーディエンスから共感を得られるかを確認する。
develop
・MVPファースト: CuriosityQuenchでは、まずノーコードツールでMVP(Minimum Viable Product)を構築し、コンセプトを検証した。
・AIの活用: 独学でのコーディングの壁を乗り越えるため、ChatGPTを「相棒」としてフル活用。発生したエラーを次々と投入し、解決策を得ながら開発を進めた。
・ボイラープレートの活用: Post-Bridgeの開発では、Next.jsのボイラープレート「ShipFast」を導入。認証、決済、DB接続といったSaaSの基本機能が予め組み込まれたテンプレートを使うことで、開発期間を劇的に短縮した。
Tech Stack
CuriosityQuench (モバイルアプリ):
・フロントエンド: React Native, Expo
・バックエンド/DB: Supabase
Post-Bridge (Webアプリ):
・フレームワーク: Next.js
・ボイラープレート: ShipFast
・バックエンド/DB: Supabase