30sec Memo
what's service
HabitKitは、新しい習慣の形成や古い習慣の打破を目指すユーザーを支援する、モバイル向けの習慣追跡アプリケーション。最大の特徴は、GitHubのコントリビューショングラフに似たタイルベースの美しいグリッドチャートで日々の進捗を視覚的に追跡できる点。意図的に機能を絞ったシンプルさと、アカウント登録不要でデータが端末内にのみ保存されるプライバシー重視の設計も価値として提供している。
多くのユーザーは、日々の成果が感じにくいために習慣化に挫折する。また、既存の習慣追跡アプリは多機能で複雑すぎたり、個人データを外部サーバーに保存することへのプライバシー懸念があったりする。
日々の行動が視覚的な資産として積み上がるグリッド表示で、継続のモチベーションを刺激する。機能を絞ったシンプルなUI/UXで、本来の目的に集中させる。データを端末のローカルにのみ保存することで、プライバシー懸念を根本的に払拭する。
More Info
売上はどのくらい?
月間総収益2,250,000円
ターゲットユーザーは?
・自己改善や習慣化に関心が高い生活に対する意識の高いユーザー。特にgithubのグリッドチャートに親和性を覚える「エンジニア+自己改善の意識の高いユーザー」は有力なターゲットとなる。
マネタイズ方法は?
フリーミアムモデルを採用。無料プランでは追跡できる習慣の数が3〜4つに制限される。有料の「HabitKit Pro」にアップグレードすると、無制限の習慣追跡やホーム画面ウィジェットなどの機能が解放される。
価格プランは月額($0.99-1.99)、年額($11.99)、ライフタイム($14.99)の3種類を提供し、幅広いユーザーニーズに対応。課金管理にはサードパーティの「RevenueCat」を利用している。
創業者について教えて
創業者セバスチャン・ロール(Sebastian Röhl)氏は、ドイツ在住のソフトウェアエンジニア。大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得後、企業で3年間勤務。より創造的で自身の裁量で開発したいという思いから独立。最初のアプリの失敗を経て一度会社員に戻るも、副業でHabitKitを成功させ、再度独立した。「まず何でもいいから作り始めること」を信条とする、粘り強く柔軟なキャリア観を持つソロプレナー。
なんで成功したの?
成功の最も重要な要因は、ASO(アプリストア最適化)とプロダクトが一体となった「成長フライホイール」を構築したこと。これは以下の4ステップで構成される自己強化システムである。
1. 「habit tracker」という最重要キーワードでASOを徹底し、広告費なしで質の高いオーガニック流入を獲得。
2. 美しいUIのスクリーンショットでダウンロード率を高め、アプリ起動後は即座に価値を提供。
3. ユーザーが最初の習慣を記録した直後という、満足度が最も高い瞬間にレビューを依頼。これにより高評価レビューの獲得率を劇的に向上させた。
4. 獲得した大量の高評価レビューがストアのアルゴリズムに評価され、ランキングがさらに上昇。これにより、ステップ1のオーガニック流入がさらに増加し、フライホイールの回転が加速する。
このように、マーケティングとプロダクトデザインを不可分なものとしてシステム設計した点が、持続的な成長の原動力となった。
Road map
会社員として働きながら、自身のアプリビジネスを始めるための資金を貯めた。
会社を辞めて独立。最初のアプリ「Liftbear」をリリースするも商業的に成功せず、6ヶ月で$100の収益しか得られなかった。
戦略を変更し、HabitKitのアイデアに着手。X(旧Twitter)上で開発過程を公開し、最初のスクリーンショットが800いいねを獲得。市場の需要を確信した。
2ヶ月でMVPを開発しHabitKitをリリース。初月で$1,500の収益を上げ、成功の兆しを見せた。
独立時の猶予期間が終了したため、一度会社に復職。副業としてHabitKitの改善を地道に続け、MRRを$3,000まで成長させた。
副業での収益基盤を確立し、2度目の退職を決意。フルタイムでコミットすると成長が加速し、月間総収益が$15,000規模に到達した。
Marketing
「habit tracker」という高トラフィックキーワードで上位表示を目指し、プロダクトの視覚的魅力を伝えるスクリーンショットを用意。さらに、ユーザーが最初の成功体験をした直後にレビューを依頼する仕組みをアプリに組み込んだ。
広告費をかけずに持続的なオーガニック流入を獲得。高評価レビューが大量に蓄積され、ストアのランキングがさらに向上するという好循環(成長フライホイール)を生み出した。
X(旧Twitter)やLinkedInなどで、開発の進捗、収益推移、成功や失敗談をオープンに共有した。
開発者コミュニティとの強固な繋がりを構築し、初期の熱心なファン層を形成。ポッドキャスト出演やメディア掲載など、予期せぬ露出の機会も獲得した。
月額わずか$100という低予算でApple Search Adsを運用した。
直接的なコンバージョン獲得が主目的ではなく、「広告出稿がAppleのアルゴリズムに好影響を与えるかもしれない」という仮説に基づくランキングブースト戦略。ASOを補完し、間接的にランキング向上に寄与した可能性がある。
公式サイトのブログを通じて、生産性向上やアプリの活用法に関する記事を公開した。
SEOによる認知度向上と、既存ユーザーのエンゲージメントを高めることを目的とした。
idea
創業者自身が日々の習慣を追跡する必要性を感じていたが、市場にあるアプリに満足できなかったことがきっかけ。「進捗を視覚的に確認できるクールな方法」が欲しいという、自身の個人的な課題を解決するために開発を始めた。創業者自身が最初の顧客(first customer)であったことが、プロダクトの強力な正当性に繋がった。
自分の痛み(不便)からスタートすること、誰かの痛みを妄想して検証せずに作らないことが大事。しかし、それよりもまず「何でもいいから作り始めること(just start building anything)」が重要。何かを実際に行動に移すことで、そこから自然と次の素晴らしいアイデアが生まれる。
develop
限られたリソースで効率的に開発を進めるリーンなアプローチを採用。
・MVP(Minimum Viable Product)開発: 最初のバージョンは、習慣追跡と進捗の可視化という核となる最小限の機能に絞り込み、わずか2ヶ月でリリース。これにより迅速な市場投入とフィードバック獲得を実現した。
・クロスプラットフォーム開発: 開発フレームワークにFlutterを採用し、単一のコードベースでiOSとAndroidアプリを同時に開発。開発リソースと時間を大幅に削減した。
・サーバーレスアーキテクチャ: ユーザーデータをクラウドに保存せず、デバイスのローカルに保存する設計にしたことで、バックエンド開発やサーバー維持のコストと手間をほぼゼロにした。
Tech Stack
・開発フレームワーク: Flutter
・統合開発環境 (IDE): Cursor (AI搭載IDE)
・ASO/キーワードリサーチ: Astro
・アプリ分析: App Figures
・収益化/課金管理: RevenueCat