30sec Memo
what's service
Eコマースブランドやマーケターに特化したAIビデオ生成プラットフォーム。「AI版Canva」とも称される。
最大の特徴は、商品を実際に「着用」したり、手に持って紹介したりできる「AIアンバサダー」機能。これにより、スタジオ撮影やモデルを必要とせず、まるで実際のインフルエンサーや顧客が商品をレビューしているかのような、信頼性の高いUGC(User Generated Content)風の動画を、誰でも容易に、かつ大規模に生成できる。
Eコマース事業者は、コンバージョン率の高い動画広告を制作したいが、従来の制作プロセスは高コスト・長時間で非効率だった。また、信頼性の高いUGCは量も質もコントロールが難しく、多くの生成AIツールは実用的なコンテンツを安定して作れなかった。
AIアンバサダーが商品を実際に着用・紹介するUGC風の動画を、低コストかつ大規模に自動生成する。これにより、消費者の信頼を獲得し、広告のコンバージョン率を劇的に向上させ、マーケティング活動のスケール化を実現する。
More Info
売上はどのくらい?
年間経常収益(ARR)15億円
ターゲットユーザーは?
物理的な商品をオンラインで販売するEコマース事業者。特に、アパレル、アクセサリー、化粧品、雑貨といった、商品のビジュアルが購買決定に重要な役割を果たすカテゴリーの事業者。
また、クライアントの広告効果を最大化するため、常に大量の広告クリエイティブを必要とするパフォーマンスマーケターやデジタル広告代理店も主要なターゲット。
創業者について教えて
創業者兼CEOのElla Zhang氏。UCLAで電気工学の修士号を取得。
Appleで初代AirPodsの創設チームに所属し、徹底したユーザー中心主義を体得。その後GoogleでARシステムアーキテクトとして、AIやコンピュータビジョンに関する高度な専門知識を培った。
「Appleの顧客理解」と「Googleの技術力」を融合させた、ハイブリッドな経歴を持つ起業家。
なんで成功したの?
成功の最も重要な要因(センターピン)は、「収益に直結する高価値なビジネス課題の解決に特化したこと」である。
多くの競合が「AIでこんなことができる」という技術の目新しさをアピールする中で、Creatiは一貫して「Eコマースのコンバージョン率を向上させる」という、顧客の売上に直接貢献する課題解決に集中した。
「面白い技術」から「儲かるツール」へと脱皮し、導入企業に明確なROI(投資対効果)を提示できたことが、単なるコストではなく「事業成長への投資」として認識され、高単価での契約と持続的な成長に繋がった。
Road map
AIでバーチャルモデルの画像を生成するサービス「ZMO.ai」を共同創業。最盛期には月間アクティブユーザー(MAU)700万人を達成したが、ほとんどが無料ユーザーで収益化に深刻な課題を抱えていた。
ZMO.aiの収益化の壁に直面し、Appleで学んだ「ユーザーと直接対話する」という原点に回帰。300人以上のユーザーに徹底的なインタビューを実施した。
インタビューを通じて、市場が求めているのは目新しいAI画像ではなく、「ビジネスをスケールできる実用的な動画コンテンツ」であるという決定的なインサイトを獲得した。
汎用的な画像生成ツールから、Eコマースのコンバージョン向上に特化したAI動画生成ツール「Creati」へと、事業の核を大胆に転換(ピボット)することを決断した。
「完璧より完成」の精神で、UIも不完全な最初のバージョンを市場に投入。初日からユーザーが殺到し、市場からの熱狂的な反応を得て、真のプロダクトマーケットフィット(PMF)を確信した。
ピボット後のローンチからわずか1年で、年間経常収益(ARR)1,000万ドル(約15億円)、累計ダウンロード数1,000万回というマイルストーンを達成した。
Marketing
製品自体が拡散する仕組みを設計。具体的には、①影響力のあるクリエイターがCreatiで制作した動画をSNSで共有することで動画を気に入ったユーザーが流入する「クリエイター・ループ」と、②顧客であるブランドが配信する広告動画が製品デモとして機能する「ブランド・ループ」を構築した。
有名なブランドやクリエイターが使っていれば企業も導入しやすくなる。2つの仕組みは好循環を生み出し、有料広告への依存度と顧客獲得コスト(CAC)を劇的に削減。オーガニックで指数関数的な成長を実現するエンジンとなった。
idea
前身事業であるAI画像生成サービス「ZMO.ai」が、700万MAUを集めながらも収益化に失敗したことが最大のきっかけとなった。
この「成功した失敗」を教訓に、創業者Ella Zhang氏は300人以上のユーザーに直接インタビューを実施。その結果、ユーザーが本当に求めているのは技術デモではなく、「自社の売上を伸ばしてくれる、実用的な動画コンテンツ」であるという真実のニーズを発見。このインサイトに基づき、Creatiへと大胆なピボット(事業転換)を行った。
個人の直感や思いつきに頼るのではなく、体系的な顧客開発(Customer Development)プロセスが重要である。特に、ターゲットとなる顧客層に数十〜数百という規模で直接インタビューを行い、彼らの表面的な要望の奥にある、潜在的な「ペイン」や「ビジネス課題」を深く理解することが、本当に価値のあるアイデアの発見に繋がる。
develop
・MVP(Minimum Viable Product)開発:「完璧より完成」の精神に基づき、機能が不完全で洗練されていなくても、仮説検証のために迅速に製品を市場に投入した。
・アジャイル開発:「ユーザーがシグナルだ」という言葉の通り、実際のユーザーからのフィードバックを迅速に製品開発サイクルに反映させるプロセスを採用している。
・「最も困難な部分から着手する」哲学:プロジェクト初期に、事業の成否を分ける最も困難な技術的課題から取り組むことで、リスクを早期に検証し、もし失敗する場合でも被害を最小限に抑えるという合理的なアプローチを取っている。